ナチュログ管理画面 アウトドア アウトドア 関東 アウトドア&フィッシングナチュラムアウトドア用品お買い得情報

2016年08月12日

甲州街道トレイル 第7日



念願の旅を再開することができた。

甲州街道トレイル 第7日

旧甲州街道を勝沼宿から韮崎宿まで、
35キロほど歩いてきました。






土曜日の始発電車はいつも混んでいる。

金曜の夜は盛り上がるものなのだろうか。
電車で隣りに座った少し面長なお姉さんからは
酒とタバコのニオイがプンプン漂っていた。

朝の爽やかな風景にマッチしない派手なネイル
とクサい匂いに思わず閉口してしまう。

このような朝帰りのお姉さんを除けば、
この時間の中央本線はハイカーで溢れている。

相模湖を越えるといよいよ緑が濃い。

連日降り続く梅雨の雨のせいか山間部は
生命力と湿気を帯びており、
森から湧き出たような低い雲が
名もない山肌をところどころ覆っている。

大月を過ぎ、富士山方面へのハイカーが降りると、
その他の多くの登山客は寝始める。

ipodに入ってた久しぶりに再生した曲の
ワーミーなバッキングを聞きつつ私も眠りにつく。

甲州街道トレイル 第7日

ハッと目を覚ますと勝沼だった。

慌てて降りると、いよいよ旅のスタートだ。

朝帰りのオネーサンの顛末を
見届けることは出来なかったが、さあ、行こう。




「勝沼宿」

勝沼駅の改札を出て左に折れ、お友達と
lineでその日の情報交換をしながら坂を下る。
辺り一面に葡萄畑が広がり、人の姿が見えない畑
からラジオと不如帰の鳴き声が聞こえる。


足取りが軽い。気持ちも。

今日は凄く良い旅になりそうだ。

ほどなくして旧甲州街道に至った。

甲州街道トレイル 第7日

宿場において一際目立つ本陣槍掛けの松。本陣跡に生えている松で、
大名行列がこの松の枝に槍を立てかけて置いたそう。


甲州街道トレイル 第7日 甲州街道トレイル 第7日 甲州街道トレイル 第7日 甲州街道トレイル 第7日
・葡萄の一大産地である勝沼。果実に袋掛けをする季節。
・宿場の面影を色濃く残す町並みに朝食と蚊取り線香の匂いが漂う。
・旧田中銀行は明治30年代の藤村式の建築。国登録有形文化財。
・曇天の空。湿度は高いが気温は上がらず、まずまずの旅行日和。


甲州街道トレイル 第7日

・街道沿いで威容を誇る地下1階、地上3階の土蔵。
明治の建物だそうだ。鬼瓦付近の意匠がとても個性的。



勝沼宿はとにかく長くて、そして楽しい。

この辺りのワイナリーでワインを沢山買って周り、
夜景を眺めながらキャンプなどできたら
どんなに素晴らしいだろう。

目の前に広がる様々な宿場の風景と、
これからやりたいことへの妄想で、
完全にタイムオーバーしてしまった。

次の宿場に急ごう。




「栗原宿」

勝沼宿を抜け、いったい幾つあるのか数え切れない
観光農園を抜けるとと栗原宿に辿りつく。

コンビニも少なく、あってもお店が小さくて、
トイレに行けずちょっと困った。

甲州街道トレイル 第7日

史跡の少ない栗原宿において数少ない史跡、田安陣屋跡
「あいさつは、心ふれあう、第一歩」こういう看板は好きだ。


甲州街道トレイル 第7日 甲州街道トレイル 第7日 甲州街道トレイル 第7日 甲州街道トレイル 第7日
・宿場街の面影は少なく、標識だけが往時を物語る。
・一際立派なお屋敷は、たまに行く大戸屋の創業者の生家だった。
・田舎の郊外には付き物の怪しげな自販機。商売は成り立つのか?
・舗装路を外れ川沿いのトレイルを辿る。こういうのが大好きだ。


薄日が差しながらも気温はそこまで高くない。
栗原宿はとても静かで、考え事もとてもはかどる。

日川が笛吹川と合流するあたりで、
遠くに石和の温泉街が見えてくる。




「石和宿」

江戸時代には代官所が置かれ、鎌倉街道の
起点ともなるなどの要衝だったそうだ。

現代においては温泉地として有名なのであるが、
とても風情がある温泉街とは言えず、
やはり石和といえば昭和のいかがわしい雰囲気だ。

甲州街道トレイル 第7日

笛吹市指定文化財の山門はなるほど立派な
鵜飼山遠妙寺。日蓮宗身延山五ヶ寺の一つ。



甲州街道トレイル 第7日 甲州街道トレイル 第7日 甲州街道トレイル 第7日 甲州街道トレイル 第7日
・名も無き稲荷の前に、お顔に鳥のフンがかかった二宮尊徳像。
曇天の雲の奥は甲武信ヶ岳だろうか。いつか登りたい。
・テアトル石和は場末の映画館の廃れた雰囲気。昔はポルノ中心の
シアターで、少年の頃の私は新聞の映画広告に胸踊らせた。
・芸姑置屋があるところあたりいかにも石和らしい。
・山崎刑場跡。切り捨て場、首洗い井戸、骨捨て井戸があったそう。
現在は跡形もないが供養塔から悲痛な叫びが聞こえてくるようだ。

甲州街道トレイル 第7日

甲運橋のたもとにはナイスは雰囲気の道標が残されている。
「右富士山、大山・左甲府、身延」と読める。
道路の拡幅工事現場の隅にポツンと置かれている。
工事後は堂々と設置され現代においても役立ってほしいもの。



こうしてみるとなんとも俗っぽい街なのだが、
幼少の頃家族で多く訪れた地であり、思い出深い。

家族の思い出に想いを馳せつつ歩を進める。




「甲府柳町宿」

石和宿を出て次の甲府柳町宿まで5キロほど、
殆ど真っ直ぐな道を歩く。

この辺りから甲府市街地周辺は高校生の頃ウロウロ
していた地であり、非常に懐かしい。

高校を卒業して以来近づいていないので、
20年ぶりくらいだろうか。
こうして訪れるとあの頃の甘酸っぱい思い出が…、

全然思い出されない。

甲州街道トレイル 第7日

私の母校の隣にある酒折宮は連歌発祥の地とされ、祭神は日本武尊。
ちなみに高校生の頃の私は連歌のなんたるがなど興味がなく、
ただ友人と授業をサボるためだけにこの地を利用していた。


甲州街道トレイル 第7日 甲州街道トレイル 第7日 甲州街道トレイル 第7日 甲州街道トレイル 第7日
・甲州の伝統工芸、印伝のお店の前を歩く。結構混んでた。
・わんちゃんの排泄マナーの啓発ポスターが多かった。
・すっかり廃れてしまった甲府の中心部は店も人通りも疎ら。
・昼食は高校生の頃足繁く通ったラーメン屋を訪れた。



甲州街道トレイル 第7日

甲府柳町宿の本陣跡は駐車場になっていた。ちなみに看板すらない。
このあたり一帯は所謂歓楽街だが、かつての賑わいはない






「赤坂~下今井」

このあたりは私の実家の近くなのである。
実家に棲んでいた頃は、旧道が近くを通っていて
面白い物がゴロゴロあるなんて知らなかったし、
まずもって全く興味がなく、興味といえばもっぱら
彼女とどのように親密になるかとか、そんな事ばかり。

このセクションには坂があり、
その坂を超えると台地になっているのだけれど、
この旧道はまさしく高校生の頃彼女を家に送ってく
途中で歩いた道であった…。

甲州街道トレイル 第7日

 「南無阿弥陀仏」。無縁者供養のため建立された赤坂供養塔。
かつては石橋に転用されたこともあるそうで、めちゃ大きくて立派。



甲州街道トレイル 第7日 甲州街道トレイル 第7日 甲州街道トレイル 第7日 甲州街道トレイル 第7日
・金峰山へと続く金桜神社本宮の参詣道とも言える道。
新たな旅の予感に胸が躍る…。
・山梨の道祖神はこのように丸い形状。
地元にいる時は日本全国共通の形状だと思っていた。
・小さな祠に収められた赤坂の道標。
草が茂り碑文を確認出来なかった。
・忘れられたように置かれている十三夜塔。
こういう石碑がいとおしい。


甲州街道トレイル 第7日

下今井の街の中ほどにある新旧2基の下今井の道標。
右が新しい道標。「庚申 右市川駿河 左甲府江戸」とある。
ここにくるまでにちょっと迷子になった…。


甲州街道トレイル 第7日 甲州街道トレイル 第7日 甲州街道トレイル 第7日 甲州街道トレイル 第7日
・下今井の街の入り口にある庚申塔はめちゃ立派。
かつて熱心に信仰されていたことが伺える。
・石畳がイイ感じの自性院への長い参道。
参拝(休憩)しようとも思ったが時間の関係で断念。
・下今井の街並みはなまこ壁が渋くてナイスでツボだった。
・下今井からJR塩崎駅への途中のレンガ造りのトンネル。
かなり古そうだが地元の子供達の絵が描いてある。



ちなみにその彼女には妄想ばかりで
手を出すどころか手を握ることすら出来なかった。

あの時のあの彼女は今頃どうしているのか…。

って、いまだに妄想してるんだから成長がない。




「塩崎あたり~韮崎」

このあたりからいよいよ体力的にキツくなる。

妻に外出禁止を喰らわないよう、早めに帰りたい。

そういうプレッシャーもあった。

甲州街道トレイル 第7日

甲斐市役所双葉庁舎近くの泣き石は超デカい。
かつて織田方に攻められ逃げ落ちる武田勝頼夫人が、この地で
泣きながら火の手が上がる新府城を振り返ったそうだ。



甲州街道トレイル 第7日 甲州街道トレイル 第7日 甲州街道トレイル 第7日 甲州街道トレイル 第7日
・下志田の三界万霊塔は1793年建立と古い。
このあたりには道祖神もあり、歴史をビンビン感じる。
・船形神社は祭りの準備の真っ只中。キレイな提灯だ。
・韮崎宿まであと少し。長い一本道をダラダラ歩く。
・韮崎はノーベル医学・生理学賞受賞者大村博士出身地として
盛り上がっていた。残念ながら博士の美術館と温泉には行けず。


甲州街道トレイル 第7日


本日のゴール、韮崎駅から茅ヶ岳、明野方面をのぞむ。

ここまで約8時間30分ほど。
疲れもあったが爽快感のほうが強い。

遠くの山を眺めながら余韻に浸る間もなく、
妻に怒られないようさっさと電車に乗る。

特に出会いなどない。
感動もない。

ただ史跡を訪れながら旧道を歩く旅。

甲州街道トレイル 第7日


ただビールは凄くうまい。

旅はいよいよ終盤。

台ヶ原から八ヶ岳を右手に眺めながら
初秋の小淵沢を抜けゴールの諏訪へ。

今から待ち遠しい。



2016年7月16日 7:56 JST
距離: 34.8 km
所要時間: 8 時間 39 分 24 秒
平均速度: 毎時 4.0 km
最小標高: 231 m
最大標高: 545 m
累積標高(登り): 1683 m
累積標高(下り): 1819 m





同じカテゴリー(甲州街道を歩く)の記事画像
甲州街道トレイル 最終日【蔦木宿~下諏訪宿】
甲州街道トレイル 第8日【韮崎宿~蔦木宿】
甲州街道トレイル 第6日 【大月宿~勝沼宿】
甲州街道トレイル 第4日 【小仏~上野原宿】
甲州街道トレイル 第3日 【立川~小仏】
甲州街道トレイル 第2日【高井戸宿~立川】
同じカテゴリー(甲州街道を歩く)の記事
 甲州街道トレイル 最終日【蔦木宿~下諏訪宿】 (2016-11-02 07:21)
 甲州街道トレイル 第8日【韮崎宿~蔦木宿】 (2016-11-01 07:21)
 甲州街道トレイル 第6日 【大月宿~勝沼宿】 (2015-03-25 08:28)
 甲州街道トレイル 第4日 【小仏~上野原宿】 (2015-02-20 07:53)
 甲州街道トレイル 第3日 【立川~小仏】 (2015-02-09 11:51)
 甲州街道トレイル 第2日【高井戸宿~立川】 (2014-09-14 17:03)
この記事へのコメント
街道はその昔、街を繋ぎ人を繋ぐ役割をしてきましたが、今はその地の歴史や文化を繋ぐとともに、人の記憶や思い出を今に繋ぐ面白さがありますね。

20年前、確かにそこに居た川崎少年。
現在、その面影を探す川崎ちゃん。
時代は流れど、同じ風景を見つめ微かな記憶をパズルのように組み立てながら完成した甘酸っぱい妄想は、今の川崎ちゃんの成長を培ってきた証として、今夜のオカズに使ってください。

ちなみに私は石和温泉でのコンパニオンとの酸っぱい思ひ出がふつふつと湧いてきております。

甲州街道 約200キロにおよぶ下諏訪への旅もいよいよあと少しですね! 
しかしながら"遠足は家に帰るまでが遠足です" と言うように、帰り道の日本橋までも気おつけください。
Posted by ZABUZABU at 2016年08月12日 19:12
今晩は!
栗原宿で舗装路を外れて川沿い…なんだか自由でいい旅ですね♪
歴史あり、想い出ありの素敵な旅お疲れ様です。僕は先日酔っぱらって終電を逃してしまい3時間歩きましたが、それだけで足が限界でした(笑)尊敬します!
Posted by rorororo at 2016年08月12日 23:00
ZABU様

こんにちは。
コメントありがとうございます。

そうですね。
「道とは何なのか」ということなのだと思います。古より獣や人などに踏みしめられ、多くの役割を果たしてきた道なのでありますが、その道そのものにものみならず、そこを往来するものにもドラマがあるわけで、そこに想いを馳せるのが楽しいものなのであります。

さて、
「同じ風景を見つめ微かな記憶をパズルのように組み立てながら完成した甘酸っぱい妄想」
とのこと、まさしくその通りなのですが、付け咥えるとすれば、今回の旅及び20年を経て、
あの時果たすことが出来なかった妄想がその後培われた私の妄想技術により見事に完成し、
鮮明に再生可能な状態となり、私の妄想映像アーカイブズ入りしております。
やはり初物同士というのは甘酸っぱく…という内容です!!

ちなみに数年前にも家族で石和を訪れたのですが、フロント近くでコンパニオンとアッチ方面のお仕事をされている強面のおじさんが抱き合いながらフラフラしておりました。

入り口には「暴力団追放」とかシールが貼ってあったのですが…。

流石石和。
我々もいつか若洲にコンパニオン呼びたいですね!!
Posted by 川崎(仮)川崎(仮) at 2016年08月13日 06:51
roro様

こんにちは。
コメントありがとうございます。

そうですね。
舗装路を歩くのも好きなのですが、舗装されていない道を歩くのも大好きなのです。両方ある旅だから楽しいのだと思います!!
ただあの川沿いの道にはずっと真っ直ぐ行くとラブホテルがあってうれし…もとい…旅情が吹っ飛びました。

おぉ。
ついにroroさんも街道歩きですかっ!!
私も終電逃しナイトウォークは趣味として嗜んでおりますが、酔っ払って終電逃した精神状態で3時間30分歩くのと、ルンルン気分で8時間歩くのでは、前者のほうが遥かにキツいと思います!!

これからも頑張ってください!!
Posted by 川崎(仮)川崎(仮) at 2016年08月13日 07:04
おはようございます。

史跡を歩くなんてステキなことを!
私は中学から自転車でキャンプしてましたが
あの頃は途中の景色を楽しんだり、観光Gスポットに寄ったり、休憩してれば地元の超熟女が話しかけてきたりと、そういうのんびりした雰囲気が好きでした。
今はそういうことせず、車でピュっと行ってドピュっと帰って来ちゃう。
まさに前戯なしで抜くだけ抜いちゃいました的で、ずっと虚しさを感じておりました。

なので最近は50cc原チャリで行こうかと計画しております。
そして私もこれからは終電を逃しても歩いて帰りたいと思います。
ゴール目指して頑張ってください。
Posted by i:nai:na at 2016年08月17日 07:42
i:na様

こんにちは!
ステキなコメント及び、中学生時代の青臭い性春の思い出を御披露いただきましてまことにありがとうございます!!

まさか中学生の時分から自転車に跨がりキャンプをするテイで、
休憩がてら地元の熟女を物色し、近寄ってきた熟女からGスポットの場所の手ほどきを受けて50ccも吹かしていたとは…。
今と変わらないじゃないですか!!

i:naさんの計画、すばらしいです。
バイクで道志みちでしょうか。
紅葉の時期など、さぞ美しくキモチいいのでしょうね!!
それなら私は歩いて道志に行こうかな…。

終電逃して歩いて帰るのはよいことと存じますが、
終電逃したギャルに歩いてつきまとうとイヤがられると思いますので気をつけてくださいっ。

心から心配です!!
Posted by 川崎(仮)川崎(仮) at 2016年08月17日 18:20
「あいさつは心ふれあう第一歩」
たしかにそうですよね。日本に限らずどこの国に行っても「こんにちは」と「ありがとう」、そして笑顔さえあれば心がふれあうことができますよね。つい先日まで、それを実感しておりました。


ところで、こんな言葉もあるのをご存知ですか。

「親しき仲にもレイプあり」
夏になると気が触れてしまう方も少なくように感じますので、捕まらないようご注意ください。あっ、川崎さんの場合それが平常運転か・・・
Posted by ぴーぴー at 2016年08月19日 22:01
こんにちはっ!

茨城のあの男の言葉を借りれば、
もぎたてのレモンのように爽やかなコメントをありがとうございます。

なるほど。
つまり旅行先において素敵な笑顔を振りまき、
その笑顔の裏にある暗黒の渦の如き腹黒により、
現地づま…、もとい現地の方々とキモチの良い交流をしてきたという事ですね。
グッドバケーション!!

ところで流石ぴー様。
伝説のブログ荒らし師、「どぴゅ師」を思わせるすごい文節であります。

「あいさつは心ふれあう第一歩」からの
「親しき仲にもレイプあり」ですか。
まぁ私の場合、物理的な行為に及ばずとも脳内で充足することが可能ですので、
ポリスの皆さんにお世話になることはないと存じます。

そう、四季をツウじて、いつも平常運転していマス!!
Posted by 川崎(仮)川崎(仮) at 2016年08月21日 10:14
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
甲州街道トレイル 第7日
    コメント(8)